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現在日本おける茶の摘採は,機械摘みによってほとんど行われています。手摘みによる摘採は,一番茶初期の高級な煎茶の生産や自然仕立て茶園,摘採機の入らない急傾斜地茶園や小規模茶園で行わている程度です。手摘みは新芽をみながら人の手で摘むので,機械摘みでみられる古葉や木茎の混入がほとんどなく,また芽の長さが揃った生葉を収穫できます。手摘みで収穫した生葉は製造すると外観的に品質の良いお茶になります。
一言で手摘みといっても幾つかの方法があり,折り摘み,かき摘み,こき摘みが一般的に行われている方法です。
折り摘みは親指と人差指で新芽のやわらかい部分をつまんで一本づつ折りとります(写真1)。折り摘みは芽の切り口の損傷が最も少ない方法なので,品質の高い生葉を収穫できます。しかし,効率が悪く1日1人当たり10kg程度しか摘めません。
かき摘みは折り摘みと手の使い方はほとんど同じですが,新芽を上の方に引っ張るようにして摘みとります(写真2)。かき摘みは折り摘みよりやや新芽が硬化した時期の手摘みに適していて,1日1人当たり15~20kg程度摘むことができます。
こき摘みは親指と人差指の間に新芽の下部をはさみ,強くしごき上げようにして摘みとる方法です(写真3)。こき摘みは堅い茎を残し,葉とやわらかい茎のみを収穫できるので,硬化が進んだ新芽を摘むときに用いられます。1日1人当たり50kg程度摘むことができますが,摘み方が荒いため,他の方法にくらべ品質が低くなります。
(参考文献)
「新茶業全書」静岡県茶業会議所編
「茶の栽培と利用加工」岩浅 潔 編著
「日本茶全書」渕之上康元 渕之上弘子 共著
(西島 卓也)