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地域による作り方の差

わが国における茶栽培は山間地域から平坦地域まで、幅広い範囲で行われています。静岡県内における山間地茶園では、気象や立地条件等により、高品質のお茶生産地として全国に知られていますが、山間地域茶園面積の38%が傾斜度15度以上であり、小区画で散在しているために機械化が進んでいません。そのため、摘採については手摘みや可搬型摘採機がほとんどです。一方平坦地域では、乗用型、レール走行式摘採機の導入が進められており、静岡県内の山間地域と平坦地域とでは地理的制約によって茶栽培管理体系が異なります。

また県別の摘採機械の導入台数をみても地域により異なります。例えば静岡県の場合、乗用型摘採機に比べレール走行式摘採機が普及し、鹿児島県では逆に乗用型摘採機が普及しています。これは傾斜が5度未満とする平坦地域割合が、鹿児島県の場合約75.5%、静岡県の場合約43.9%(8度未満)であり、平坦地域の少ない静岡県では、緩傾斜地や中小栽培園で導入可能なレール走行式摘採機が普及しています。そして摘採機の種類に応じてお茶の樹形が決まり、可般型摘採機やレール走行式摘採機の場合、それぞれの摘採機により若干違いはありますが、かまぼこの形をした半円形であるのに対し、乗用型摘採機の場合では、半円形に比べ畝の傾斜角度が緩い水平型をしています。そのため、茶園に導入されている摘採機の種類により、茶園の景観が違って見えるかもしれません。

(参考文献)

静岡県茶業振興基本計画 静岡県農政部

農林水産省畑作振興課調査(平成6年度調査)

(中村 茂和)

上:左は可般型摘採機により摘採されたお茶の木、右が乗用型摘採機によって摘採されたお茶の木 中下/県別茶園摘採機械導入台数 下/静岡県と鹿児島県の摘採機の