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茶園が蒲鉾形になる理由 -饅頭が蒲鉾に化ける話-

車窓から眺める茶園は、畦が曲線を描いて美しく、静岡県の景観の一つとなっています。茶園に近づいてよく見ると、高さは腰のあたりまでしかなく、蒲鉾形で松や杉などの樹木、柿やリンゴなどの果樹とは様子が違います。

このように茶樹が蒲鉾形になるのは、茶栽培に独特の新芽を全て摘み穫ってしまう茶摘み作業のためです。芽を摘み取られる茶樹は毎年わずかしか上に伸びられず、胸あたりの高さまでになると、茶摘が大変になるので低く刈り戻されます。この結果、楽に茶摘のできる丈の低い茶園が多くなるのです。また、蒲鉾形になったのは、手摘みではなく鋏で茶芽を摘むようになってからのことです。手摘みでは、株の周りをぐるりと回って、手の届く範囲で芽を摘みます。そのため、茶株は中央部が盛り上がった饅頭形、あるいはそれが繋がったジグソーパズル形になります。鋏を用いた摘み方が開発されてから、収穫面積が広いなど利点の多い、蒲鉾形畦の普及が始まりました。饅頭形の株と株が一列に繋がって、蒲鉾形の畦ができあがったのです。

(久保田 栄)

①蒲鉾形 ②饅頭形の茶樹 ③茶摘みをしない茶樹