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茶の大敵、晩霜害

茶は亜熱帯原産の植物といわれています。この亜熱帯原産の植物を温帯の日本で生産するためにはどうしても気象との関係をうまくコントロールしないと気象災害の危険性があります。この気象災害の中でも最も被害が大きくなるのは凍霜害です。一般に葉の表面に結霜が見られ白くなっていることを白い霜害と表現し、結霜が無く表面が濃緑色のまま植物体が凍結し、被害発生する時を黒い凍害と言います。茶では結霜してもしなくても春先の新芽が低温障害を受けた場合を凍霜害と表現します。

茶芽の耐凍性は厳寒期にはかなり強いものです、1月に-10℃、2時間以内であれば茶芽はほとんど影響を受けません。しかし、3月になって新芽が徐々に生育を開始すると耐凍性は低下してきます。図は茶芽の生育時期別の被害発生温度を示したものですが、3月始には-6℃近い低温に耐えられた茶芽も、生育を開始して茶芽が水を多く含むようになると耐凍性が大きく低下します。新芽の長さが冬芽の約倍になった時を萌芽といいますが、この萌芽期を少し過ぎた時に最も被害を受けやすく-2℃で凍霜害を受けます。

日本上空が比較的低温の寒気団を伴った移動性高気圧に覆われ、夜間を通じて風が弱く、上空は快晴で雲が無い条件で放射冷却が起きやすくなります。地表面付近の気温分布は日中は高く、夜間は低くなります。特に茶株面のように昼は直接、太陽熱を受け、夜間は放射冷却面になって熱を放出する役目を果たす所は暑くなりやすく、冷えやすい傾向があります。このような気温の高さ別の温度差を差を気温の逆転度ということがあります。

これは風呂を沸かしたとき、表層が暖かくて、いざ入浴しようしたら、下はまだ水だったということがありますが、このような状況と同じです。湯を攪拌して全体が均一な温度になる様にします。この攪拌するための道具として風呂では湯かき棒?の様なもので行いますが、茶園では防霜ファンの風でかき混ぜます。

(参考文献)

茶生産指導指針 静岡県

日本の茶樹と気象 渕之上弘子

茶の栽培と利用加工 岩浅 潔編

日本茶全書 渕之上康元、弘子