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茶の価格と品質

お茶の木は樹勢の強い永年作物ですから、1年間に3回も4回も、同じ茶畑から収穫されます。最初に摘採されるお茶を1番茶、2度目のを2番茶、3度目を3番茶、4回めが最終となり4番茶又は秋冬番と呼びます。

お茶の品質もこの順番に従い、薬効の高いテアニン・カテキンの含有量も後になるほど減少し、殊に美味しい香味は大きく低下いたします。 1番茶の新芽には、冬中休眠した栄養分が蓄えられており、茶専門店が年間売り前の種茶(主役)として何より大切にするお茶です。

静岡茶市場中心の取引平均値段を比べてみましょう。

平成11年(1999年)1kg当り原料荒茶平均値 

  • 1番茶 3750円
  • 2番茶 1420円
  • 3番茶 900円
  • 秋冬番 330円

値段はお茶品質の総合的表現ですから、1番茶価格が茶業界にとって如何に大切なものであるか、お解り戴けると思います。敷衍して云えば、品質鑑定技術こそ、茶業者にとっては一生の努力目標であり強い柱となるべきものであります。それはブドウ酒におけるソムリエと似た立場にあると思います。

明治10年、内務卿大久保利通の肝入りで開催された全国茶品評会における、「茶評価法」の伝統は現代の茶業界へやむことなく伝えられています。生れ育ちの風土香を発見し、そして何より茶農家の精進の在り様と茶づくり達からのメッセ-ジを、いかに感じとるかに関わります。全国各茶産地と全国的なお客様の間で、1kg幾らと云う小売値段を存在させるためには、生産と消費の両方から信頼される価格形成が必要です。価格と品質の追求は、芸術修行に似た行為かも知れません。

(時田 鉦平)