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脳卒中の予防

ヒトの脳卒中(脳出血、脳梗塞)の最大の危険因子は高血圧です。茶葉に含まれるカテキンや、ギャバ(γ-アミノ酪酸)には、血圧の上昇を抑制する作用があります(図1の血圧調整効果 参照)ので、脳卒中の予防にも当然効果があると考えられます。

SHRSP(Spontaneously Hypertensive Rat,Stroke Prone, SHRSP、遺伝的に高血圧および脳卒中を発症し易いラット)では、脳卒中の発症前からTBARS(チオバルビツール酸反応性物質)の値が上昇し始め、発症後には急激な増加が認められます(Tomita,I. Etal.,Stroke 10,323-326,1979)。

そして、これに呼応して、抗酸化酵素であるSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)やグルタチオン-S-トランスフェラーゼの活性が低下します。茶カテキンは生体内においても強い抗酸化能を発揮しますので、脳卒中の予防に効果があるものと考えられます。

一方、最近の研究でSHRSPに比べ、さらに脳卒中を発症し易いM-SHRSPでは、脳卒中の発症にNO(一酸化窒素)が関与していることが明らかになりました。すなわち脳卒中の発症時には脳で大量のNOとスーパーオキシドアニオンラジカルが生成し、その結果、極めて傷害性の強いパーオキシナイトライトが発生し、脳組織の障害に働いている可能性が示唆されています(Tabuchi M. etal.,Jpn Heart J. 39,577,1998)。

茶カテキンには、このパーオキシナイトライトと反応し、それを不活性化する作用があります。ヒトでの疫学研究でも、お茶の飲用が脳卒中の予防に効果があるとする結果が、いくつか出されています(表1参照)。

(富田 勲)

茶摂取と脳卒中に関する研究(画像をクリックしてください)