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ビタミン

茶葉に含まれるビタミンの量は、茶の種類によって異なります。中でも抗酸化性ビタミンとよばれるビタミンA(前駆物質であるβ-カロチンなどのカロテノイドを含む)や、ビタミンC(l-アスコルビン酸)、ビタミンE(α、β、γ、δ-トコフェロール)などは、茶の製法や工程の長さなどによって減少します。従って、その含量は、緑茶、ウーロン茶、紅茶、黒茶(プーアール茶)の順に低いのが普通です。

例えばビタミンCは、緑茶(煎茶)では、乾燥葉中150~300mg%、ウーロン茶では40~50mg%、紅茶、黒茶(プーアール茶)では殆ど、あるいは全く検出されません。また、同じ緑茶でも、玉露には煎茶に比べ約半量しか含まれていません。

茶葉に含まれるビタミンの量を、野菜など、他の食品に含まれるそれと比較しますと、図1のようになります。茶葉は元来、乾燥した食品で、他の食品に比べ水分が少ないので、含量が高いのは当然かもしれません。これらの中で、ビタミンCは水や湯によく溶けます。従って溶出液(お茶)にはビタミンCが多く含まれます。例えば、普通の煎茶一杯(約100ml)にはビタミンCが4~5mg含まれます。一方、他の抗酸化性ビタミンであるA(β-カロチン)やビタミンEは水や湯に殆ど溶けません。従って溶出液(お茶)には含まれません。茶葉を粉にして食べる(茶食)場合には、これらのビタミンはすべて利用されると考えられます。

(富田 勲)

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