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しゅんめい ―萌芽期、摘採期が「やぶきた」より四~六日早い生育良好な早生品種です―

栽培特性

挿し木発根性は良く、定植後の活着も良好です。幼木期、成木期とも樹勢が強く、生育は旺盛です。
耐寒性は強いです。耐病性は、炭そ病抵抗性は、中からやや強、輪斑病抵抗性は強で「やぶきた」より強いですが、幼木期には赤焼病の発生が見られることがあるので注意が必要です。樹姿は中間型で、株張りが良く、幼木期の剪枝は「やぶきた」のように、低く抑える必要はありません。

製茶特性

金谷での萌芽期及び摘採期は「やぶきた」より四~六日早いです。 一番茶の収量は、晩霜害を受けない場合は、「やぶきた」と同等か多収です。一番茶の品質は、形状はよく締まり、色沢は緑が濃く良好です。香気は温和です。滋味は、渋味が少なく、うま味があります。二番茶、三番茶は、「やぶきた」より多収で、品質は良好です。

加工上の注意点

色沢は 緑が濃く、場合によっては黒みを帯びることがあるので、製造には注意が必要です。また、摘採が遅れると新芽が硬化しやすいので若芽摘みあるいは適期摘採を心がけて下さい。

普及および栽培適地

「しゅんめい」は、育成直後は品質優良な早生品種として注目されましたが、二年後に登録された「さえみどり」に追い越されてしまいました。
「さえみどり」は確かに品質良好な品種ですが、栽培形質にはいくつかの問題点があり、普及適地は限られます。早生品種の中では、「しゅんめい」は栽培形質が良好で、収量は多く、広い範囲に適用できる品種です。萌芽期は「さえみどり」より少し遅いので、霜害を受ける心配はそれだけ少なくなりますし、受けた場合でも立ち直りが早いです。品質面では、色沢がやや黒味を帯びるために「さえみどり」には一歩及ばないが、早生で最も栽培面積が多い「ゆたかみどり」や他の早生品種と比べるとかなり良好です。

月刊「茶」(社団法人静岡県茶業会議所)より転載

(池田奈実子)