ホーム > おしえてTea Cha! > 茶の品種 > おくみどり ─ 「やぶきた」と組み合わせて摘採期を拡大する ─

ここから本文です。

おくみどり ─ 「やぶきた」と組み合わせて摘採期を拡大する ─

製茶特性

萌芽期が「やぶきた」より十一日、摘採期が八日遅い晩生です。
新芽の硬化が遅く、伸びがよく、多収です。
製茶品質は、外観は細よれしやすく、色沢は濃緑色で、香味はさわやかですっきりしていて良好です。特に個性的な品質ではありませんが、欠点やくせがなく、使いやすい品種です。

栽培上の注意点

樹勢が強く、樹姿は直立型です。晩生で耐寒性が強いので、山間地や霜害を受けやすい地帯にも適します。炭疸病には弱く、発生しやすい地域では防除が必要です。その他は目立った病害虫による被害はありません。

加工上の注意点

製茶が特に難しい品種ではありません。摘み遅れると茎が目立ちます。新鮮な香りを活かすようにすると、品種の特徴を出すことができます。

普及および栽培適地

静岡県では奨励品種にはなっていませんが、三五ヘクタール栽培されています。二〇〇〇年五月号には、富士市での導入例が紹介されています。
一九九九年二月号には、京都府の煎茶生産地域および三重県のかぶせ茶産地において、中生の「やぶきた」と晩生の「おくみどり」を組み合わせて摘採期の拡大や労力分散を図り、品質を向上させて、経営を安定化している例が紹介されています。三重県では、近年急に栽培面積が伸びています。愛知県ではてん茶として、福岡県では玉露としても高く評価されています。佐賀県では、品種組み合わせ用の晩生品種として注目されています。
宮崎県、鹿児島県では栽培面積が伸びています。これらの県では規模の拡大によって「やぶきた」だけでは回らなくなり、一九九九年五月号、六月号の記事のように、「おくみどり」を導入して摘採期の分散を図っています。

月刊「茶」(社団法人静岡県茶業会議所)より転載

(池田奈実子)