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おくひかり ─香気が高く、水色の良好な山間地向きの晩生品種─

品種の特徴

「おくひかり」は「やぶきた」より五~六日遅い晩生種であり、樹姿は直立型で、樹勢の強いものです。成葉は長だ円形で大きく、葉色は光沢に富んだ濃緑色です。摘採期の新芽は芽重型で、収量性は「やぶきた」並です。耐寒性は赤枯れや裂傷型凍害には「やぶきた」より強く、晩生種のため霜害を回避しやすいものです。耐病性の炭そ病・輪斑病・もち病には強いが、赤焼病と赤葉枯病には非常に弱いものです。

品質特性

外観の形状は、剣のたった堅く締まった茶となりやすく、色沢は濃緑で冴えた光沢があります。内質の香気は、「やぶきた」とは異なった個性的な香りを持ち、水色は明るく、力があり極めて良好です。滋味は、水色の割に少し渋みが出ますが、山間地ではソフト化されます。

栽培上の注意点

樹姿は、「やぶきた」よりもさらに直立性が強いため、株張りを広げるように仕立てるとともに、芽数が少なく芽重型傾向が強いため、芽数を多くするような整せん枝が必要です。赤焼病には極めて弱いため、幼木期や自然仕立て園では周到な防除が必要です。

加工上の注意点

水色は明るい緑色で力があり、非常に優れます。その水色に比べ、渋みを強く感じ、商品化しにくい場合には、いくらか深蒸し傾向にするのが良いと思われますが、色沢が濃緑のため深蒸し茶にはやや不向きです。

普及および栽培適地

「おくひかり」は直立性で樹勢が強く、非常に光沢のある濃緑色の葉色を持ち、荒茶品質は香気が高く水色の極めて良好な良質晩生種です。そのため、中生の「やぶきた」の後に組合せ栽培するのに適しますが、特に耐寒性と炭そ病に強く、品質においても色沢と香味が山間地で優れているため、普及地帯は「おくひかり」の特性が発揮されやすい山間地が適しています。

月刊「茶」(社団法人静岡県茶業会議所)より転載

(中村順行)